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コラム

安心運転
ウインカーの役割
~守るべき基本ルール~
公開:2025年10月13日
ウインカーを出す意味が分からないというSNS投稿

 インターネットの掲示板に「ウインカーを出す意味合いがわかりません」という投稿が掲載されて議論を呼びました。もともとは2017年に投稿されたものだったのですが、再び掲載されて話題となったようです。


投稿内容は以下のようなもの


「暗い夜道であれば見えづらいのでその意味は充分にわかりますが、目視で確認できる昼間にまでウインカーを出すことは何か特段の理由があるものなのでしょうか?」

「ウインカーを出すことに集中して肝心な運転がおろそかになってしまってはいけないと思います」

「ハンドルを回せば自動的にウインカーがつく仕組みなんて簡単に作れると思うのですが、そうならないのにも理由があるのでしょうか?」


 どう思われましたか?

 この投稿に対して、


「そんなこともわからないなら免許返納してほしい」

「議論の余地がない」


などの他、ここでは書けないような辛辣な意見が多くありました。



そして考えてみました。

この投稿者のように考えているドライバー(ここまで極端でないにしても)も一定数いるのかもしれない・・? 方向指示器の必要性・重要性をはたして皆がどのくらい理解しているのだろうか?


今回は、このSNS上で皆から叩かれていた投稿に対して、真向から分析して(笑)みたいと思います。


ウインカーをハンドルに合わせて点灯させる技術について

 まず、「ハンドルを回せば自動的にウインカーがつく仕組みなんて簡単に作れると思うのですが、そうならないのにも理由があるのでしょうか?」に関して。


 ハンドルを回せば自動的にウインカーがつく仕組みなんていとも簡単に実装できそうです。それをしないのには訳があります。

 まず実装したとして、ハンドルを回し始めないとウインカーがつかないことになります。ということは、ウインカーが付いたときには運転者はすでに右折または左折、もしくは左右への進路変更を開始していることになります。

 実際、曲がり始めてからウインカーをつけているような運転者をしばしば見かけますが、これは非常に危険な行為です。

 例えば交差点を右折するときにこのようにした場合、前方から来る対向車はどう感じるでしょうか?

ほとんどの対向車の運転者は「直進すると思っていたら急に右折してきた!」と思うでしょう。対向車は、衝突を回避するために急いで減速しなければなりません。


 片側2車線の道路や右折レーンへの進路変更をするときも、ハンドルを切り始めてから初めてウインカーがつくとしたら、後続車にとってこんな危険な運転はありません。

右車線を走っていたらいきなり何の前触れもなく左車線の車が前に割り込んでくるのですから。

 追突を回避するために急ブレーキを踏めたとしても、後続車がいれば追突される危険性も生じます。


 こういう危険を回避するために、ウインカーは右左折する30m手前から、進路変更はその3秒前からというルールがあります。


 「ハンドルを回せば自動的にウインカーがつく仕組みなんて簡単に作れると思うのですが、そうならないのにも理由があるのでしょうか?」の答えは、そのタイミングでウインカーがついても危険回避に繋がらない技術だからです。

 しかし、今後AIが発達して、ドライバーの「曲がりたい」と考える意思を読み取り、右左折や進路変更するためにハンドルを回すことを予測し、その30mまたは3秒前からウインカーがつくという技術が実装されれば、これは便利な技術となるかもしれません。

なかなかハードルが高そうですが・・。

 


ウインカーを出すことに集中することはあるのか

 次に「ウインカーを出すことに集中して肝心な運転がおろそかになってしまってはいけないと思います」に関して考えてみます。


 ウインカーを出すことに集中して運転がおろそかになるというのはどういう状況でしょうか?

 投稿者はハンドルを切りはじめるタイミングでウインカーを出すと考えているようです。だとしたら、

ウインカーを出すことに集中するということは右左折または進路変更するその時にまさにウインカーを出さないといけないと考えていることになります。

 確かにそれだと、右左折または車線変更のハンドル操作にウィンカー操作が加わるので、作業は増えます。ウインカーを出すのを忘れてはいけないと考えるあまり、肝心の右左折または車線変更への注意力が散漫になる可能性もあるかもしれません。

しかし、投稿者が思っているように右左折や車線変更と同時にウインカーを出すのではなく、右左折の30m手前、車線変更の3秒前に出すものと知っていれば、この危惧は解消されるでしょう。


右左折が30m前、進路変更が3秒前と道交法ではウィンカーのタイミングが決められていますが、

なぜそもそもそう設定されているのかを考えてみましょう。


●なぜ進路変更3秒前なのか?


まず、車線変更時は速度が一定ではないため、距離でなく時間基準が適しています。

そして、3秒とは何の時間なのか?それは、

「3秒あれば、後続車や周囲の車が進路変更の意思を十分に認知し、対応できる時間が確保される」ということです。


1秒だと周囲が気づくのに遅れる場合があり、5秒以上だと早すぎて誤解を招く可能性があります。

人間の認知・反応時間を見てみると・・


□視覚的認知(0.3〜0.5秒)

「ウィンカーが点いた!」と交通パートナーが気づくのに要する時間です。


□判断(0.5〜1.0秒)

「この車は曲がる/車線変更する」と理解して対応を考える時間です。


□操作開始(0.5〜1.0秒)

アクセルを緩める、ブレーキに足を移す、ハンドル操作を控えるなどの行動に移る時間です。


合計すると1.5〜2.5秒程度は最低限必要で、さらに+制動するための時間も必要な場合もあります。


3秒前にウィンカーを出せば、周囲は余裕をもった行動ができます。



●なぜ右左折30m前なのか?


市街地走行(30〜40km/h)を想定した場合、30mは約3秒に相当。 


□30km/h = 8.3m/s → 30m ÷ 8.3 = 3.6秒


□40km/h = 11.1m/s → 30m ÷ 11.1 = 2.7秒


交差点を曲がる場合、後続車や対向車に確実に意思表示するためには、距離基準が明確で適しています。


つまり「30m前」は結果的に約3秒前と同じ意味になり、事故防止のための交通パートナーへの配慮となります。


ウインカーではなく車の動きで右左折や車線変更を判断している疑惑

 次に「目視で確認できる昼間にまでウインカーを出すことは何か特段の理由があるものなのでしょうか?」という意見について。

 ここで問題なのは、投稿者が、昼間ならウインカーを出さないでも車の右左折や車線変更は判断できると考えていることです。すなわちもともと他の車のウインカーを確認していない可能性があります。

それならば、自分もウインカーを出す必要があるのかと思ってしまうこともわかります(かなり投稿者に寄り添っています笑)。


 投稿者はスピードを出し過ぎていたりしないため、対向車が急に右折したり、前を走っている車が急に車線変更をしたとしても対応出来てきたのでしょう。

 ウインカーを出さないで交差点で右折したり、急に車線変更をすれば、他車は急ブレーキをかけたり、慌てて車線を戻したりしないといけない事態になったりしかねません。


 ウインカーを出していない車が急に曲がってきたとしたら、横断中の歩行者は対応出来ず、死亡事故にもつながります。

 ドライバーは、自分のウィンカーが周囲にどう影響するのかという、想像力をもって運転する必要があります。


ウインカーの重要性を理解して安心運転を!

 「ウインカーを出す意味合いがわかりません」という投稿をした運転者が非常に危険な運転車であることがわかってもらえたかと思います。


 運転をするときは、自分の事だけでなく、常に相手の車や歩行者のことを考えることが大切です。


 教習所で学習したことすべては覚えていないかもしれません。


 しかし、運転免許を取ったらそれでもう何も勉強しなくていいわけではありません。これはどうだったかな?間違っていないかな?と考えることが大事です。


 運転免許更新の際に簡単な講習も受けていますが、その際に大切なことは、それぞれの話を想像力を働かせて聞くことです。そうすれば、なぜそういうルールになっているのか、なぜ規制されるようになったのか、なぜルールが変わったのか、など、その全てが危険を回避し、安全運転を行なうことができるように決められたものだということが分かるでしょう。


 想像力を働かせて日々安全運転をすること、それこそが安心運転につながっていくのです。

監修

大阪ガスオートサービス
大阪ガスオートサービス株式会社
SAFE推進部 安心運転訓練センター
企業ドライバーに特化した安全運転教育を提供し続け、約30年。
受講企業数400社以上、受講者数は13万人を超える(2025年3月末時点)。
交通心理士/心理士補、指定自動車教習所検定員/指導員、自動車整備士/検査員、交通機動隊白バイ隊員など、豊富な知識と経験を持つ講師陣が、多角的な視点、専門的知見により、安全・安心運転ドライバーへと導く。
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