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5月1日午後1時35分、大阪市西成区で暴走する乗用車が下校中の小学生7人をはねるという交通事故がありました。
乗用車(SUV)は蛇行しながらスピードを落とさず、小学生の列に後方から突っ込んだそうです。ブレーキを踏んだ形跡はなく、7人が重軽傷を負ったと報道されています。
はねたのは東京都東村山市に住む28歳の男性で、大阪でレンタカーを借りて運転をしていたようですが、警察に対して「人を殺そうとして車で突っ込んだ」と供述しているとのことです。運転手の男は殺人未遂容疑で逮捕されました。
車を凶器に使った無差別殺人といえるこの交通事故。果たして避けることはできるのでしょうか?何の関係もない弱い子供を狙った凶行に対して、どう対処すればいいのでしょうか?
車は運転の仕方しだいで凶器になる、ということを絶対に忘れてはいけません。交通事故被害者や遺族のことを少しでも考えれば、交通ルールを破ったり、ましてや車を凶器に使うことなどできないはずです。
軽傷を負った小学生は、事故後も「近づいてくる大きな白い車が怖い」と話しているそうで、寝ている間にも叫んで起きたということです。
交通事故は身体の傷だけでなく、精神的にも傷を作ってしまいます。精神的影響は、その人の人生を大きく狂わせてしまうこともあるのです。
交通事故被害者のことを歌った曲に、THE虎舞竜の「ロード」という曲があります。
「ロード」は、当初は全部で13章からなり、1993年1月に発売された第1章は、220万枚を売り上げる大ヒットとなりました。歌詞の内容は、実話が元になっているそうです。
1987年に19歳の女性から、作詞作曲の高橋ジョージさんのもとにファンレターが届いたそうです。そこには「子供はいらないと言っている彼氏に、妊娠したことをどう打ち明けたらいいか」という悩みが書かれていたそうです。
その後、春に出産を迎えることとなったその女性は、出産前に交通事故で亡くなっていたということでした。
「ロード第1章」は「日常の何でもないと思えるようなことが幸せだったということがわかる」という意味の歌詞で始まります。(※歌詞には著作権がありますので、意味を変えないように言い換えています)
何でもないと思えることという例として、車に乗って助手席に彼女が座っていたという情景が歌われています。
その幸せが1本の電話で突然壊れてしまいます。彼女が亡くなったことを知らせる電話です。亡くなった原因はこの時点ではまだわかりませんが、そこには彼女が亡くなった主人公の気持ちが表されていて、どことなく無情の世界が広がります。
「ロード第2章」ではドライブする道も車もあの頃のままなのに、彼女だけがいないという主人公の気持ちが表されています。そこにぽっかり空いた穴はどうやっても埋められないのです。
二人で買っていた子供服をおなかの上においたという歌詞から、彼女が妊娠していてその胎児も一緒に亡くなったことがわかります。
「ロード第3章」で、彼女の命を奪ったのが、カーブでの交通事故だったことが分かります。その後第10章まで、亡くなった彼女との思い出や苦しみが痛いほど伝わってきます。
第11章以降でやっと前を向いて生きていく決意をし、第13章で立ち直るまでなんと10年が経過していたという事が描かれています。
全13章に及ぶ「ロード」は、交通事故遺族がその出来事を受け入れ、また前を向いて歩み始めるまでの長い苦悩や悔しさを伝えています。
交通事故の加害者の気持ちを歌った、さだまさしさんの「償い」と合わせて、被害者のやりきれない思いを歌った、この「ロード」もぜひ一度全部聴いてみてほしいと思います。
「ロード」第13章までの歌詞の内容で、彼女の事故が夜のカーブでのスピードオーバーによるものではないかと考察します。
但、交通事故が対向車との衝突であるのか、カーブを曲がりきれなかった単独事故なのかは歌詞ではわかりません。
そのことに関しては、「ロード第1章」で彼女がまるで「眠れる森の美女」の王女(少女)のような表情だったという歌詞から、正面衝突ではなく、単独事故ではないかと考えられます。
2024年の交通事故291,895件のうち車両単独事故(12,090件)が全交通事故に占める比率は全体の4.2%と多くありません。
しかし2014年と比べると件数は19,205件から大幅に減っているものの全交通事故件数に対する比率的には3.3%から4.2%へと1.3倍にも増えていることになります。また、車両単独事故はこの3年間、少し増加気味のままほとんど件数が変わっていません。
大阪市西成区の交通事故加害者(犯人)は、「人を殺そうとして車で突っ込んだ」「全てが嫌になり、小学生をひき殺そうとした」「苦労せずに生きている人が嫌だった」と供述しているそうです。
車は凶器になります。意図していなくても、アクセルの踏み間違いや勘違いでの逆走など、知らないうちに凶器と化してしまうこともあります。
ドライバーは、もし交通事故を起こしたら被害者や遺族がどんな気持ちになるか、どんな状況に置かれるのかをよく考え、車を凶器にしないように安心できる運転(安心運転)をしなければなりません。
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