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2023年の全国交通事故発生状況(2024年3月警察庁交通局発表)によると、交通事故負傷者数は365,595人で、交通事故件数の増加と同じく19年ぶりの増加となりました。対前年比人数では8,994人もの増加で、+2.5%の増加率でした。
交通事故負傷者数を都道府県別にみると、東京都が3年連続全国ワースト1位の34,870人で、対前年比+1,441人、4.3%の増加となり、3年連続の増加となりました。次いで大阪府(30,097人)、愛知県(28,990人)、福岡県(25,699人)神奈川県(25,644人)と続いています。
都道府県別交通事故負傷者数ワースト5
交通事故負傷者数のワースト5の順位も交通事故件数と同じくここ3年間同じ順位でした。交通事故件数との違いは4位と5位が入れ替わっている程度です。
さらに交通事故件数と同じく、1位の東京都は3年連続、2位の大阪府は2年連続増え続けています。
交通事故負傷者数の増加における特徴は、重傷者数が23年ぶりの増加となり、前年比6.2%増と大幅に増加したことです。交通事故件数、交通事故死者数、交通事故負傷者数の増加とも全て2%台の増加であったことと比べて2倍以上の増加でした。
年齢層別の重傷者数(2023年)は下表のとおりで、70~74歳が最も多いという結果になりました。
重傷事故件数では50~54歳が最も多かった(コラムNo.3参照)のに比べ、重傷者数は70~74歳が最も多いという結果になりました。2位以下でも重傷事故件数の2位が45~49歳だったのに対し、重傷者数では75~79歳が2位という結果でした。さらに重傷事故件数で5位に入っていた20~24歳に代わり、重傷者数の5位には80~84歳が入るなど、高齢者が重傷となりやすいということがわかります。
交通事故重傷者がどんな状態の時に交通事故にあって重傷となったのかについて、状態別重傷者数の推移は以下の表の通りです。
交通事故重傷者の状態別では歩行中、自動車乗車中、二輪車乗車中、自転車乗車中の構成比がほぼ拮抗していることがわかります。また2023年は全ての「状態別において重傷者数が増加し、特に歩行中の増加率が大きいことが挙げられます。
さらに歩行者中の重傷者数に関して、年齢別構成のワースト5は以下の通りです。
歩行者の重傷者が圧倒的に高齢者に偏っていることがわかります。65歳以上の構成比は55.6%になり、75歳以上で昨年より大幅に増えていることがわかります。
歩行中交通事故重傷者が法令違反をしていたかどうか、法令違反をしていた場合はどんな違反が多かったのかを示した表は、以下の通りです。
歩行中交通事故重傷者のうち法令違反のない歩行者が法令違反のある歩行者より圧倒的に多く、さらに高齢者の方が高齢者以外よりも法令違反をしていないで交通事故重傷者となっていることがわかります。
さらに歩行中交通事故重傷者の法令違反別では、高齢者は横断違反が圧倒的に多く、高齢者以外の2倍近くになっていることがわかります。横断違反とは横断歩道以外を横断する、走行車両の直前直度を横断するといった行為を指します。また高齢者以外では飛出しが多く、信号無視に関しても高齢者より多いことがわかります。
交通法規を守っていれば交通事故に合わないという訳ではありません。たとえ自分自身が交通法規を守っていても、自動車運転中の相手が信号無視をしたり、歩行者が急に横断歩道以外を横断してくることはあります。
そのときにとっさの対応ができるように日頃から余裕を持って、注意に気を配って運転することが交通事故に巻き込まれないために大切になってきます。
日頃から交通法規を守って安全運転を心掛け、他の運転者や歩行者が交通法規を守らなかった場合を想定して急な場合に対処できる運転が求められています。ゆとりのある気持ちと相手の次の行動を予測する心をもち、運転者にも歩行者にも安心感を与える「安心運転」が大切になります。交通事故から全ての運転者や歩行者を守る「安心運転」が求められているのです。
コラム(2024.4.15発行)
【2023年】交通事故件数に関するデータについて はこちらから
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