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全国交通安全運動は内閣の交通対策本部が中心となって推進する交通安全啓発活動期間で、春と秋それぞれ10日間に渡って実施されています。春の交通安全運動は4年に1回全国統一地方選挙が行われる年を除き、毎年4月6日~15日の日程で行われています。
2024年の期間中の全国の交通事故数は7,123件、交通事故死者数は55人でした。
交通安全運動は交通安全の啓発を目的として、1948年から行われています。春と秋の2回行われるようになったのは1952年で、毎回全国交通安全運動推進要綱によって運動重点が決められています。
2024年の春の運動重点は、以下の3項目でした。
(1)こどもが安全に通行できる道路交通環境の確保と安全な横断方法の実践
(2)歩行者優先意識の徹底と「思いやり・ゆずり合い」運転の励行
(3)自転車・電動キックボード等利用時のヘルメット着用と交通ルールの遵守
春の交通安全運動期間中の交通事故件数を都道府県別にみてみると、3年連続で東京都がワースト1位で、2024年には前年2位だった大阪府に代わって愛知県がワースト2位になりました。2020年、2021年とワースト1位だった大阪府は2022年、2023年に2位、2024年にはワースト3位と順位を下げていて、交通事故件数も4年連続減少と交通安全運動の効果が表れています。逆に東京都は全国で件数が減少しているにもかかわらず、増加しているという結果となりました。
都道府県別春の全国交通安全運動実施期間中の高地位事故件数(単位:件)
全国交通安全運動は年間で春と秋に10日ずつ実施されていますが、実際に交通事故減少に効果があるのでしょうか?
2021年から2023年の交通事故件数と交通事故死者数を交通安全運動期間とそれ以外の期間で比較してみると、交通事故件数は交通安全運動期間中平均が1日あたり829件、それ以外が1日あたり835件、交通事故死者数は交通安全運動期間中平均が1日あたり6.5人、それ以外が1日あたり7人という結果でした。
交通事故は毎日日本のどこかで発生しています。この年間発生件数を予想することはある意味不謹慎なことのようでもありますが、1件でも交通事故が減ることを願って、2024年に一体何件の交通事故が発生するのかを予想してみます。
春の交通安全運動と年間の数値の相関を考えて適用すると、2024年は交通事故件数が269,445件で前年比12.5%減、交通事故死者数が2,457人で前年比8.3%減という結果になりました。
2024年の交通事故件数と交通事故死者数の可能性
昨年増加した交通事故件数と交通事故死者数ですが、今年は減少に転じる可能性が高そうです。このままさらに減少して、交通事故件数は1件でも少なく、交通事故死者数は1人でも減ることを望みます。願わくば両方の数字が0になる日が来ることを期待します。
全国交通安全運動期間が春と秋に決められたことには理由があります。春は、新年度が始まり、新たに通学・通園する児童などが増えるため、幼児や児童の交通事故が増加傾向にあるということ。秋は、夜が長くなり日没が早くなるために、薄暮や暗い時間帯に慣れていない運転者が事故を起こしやすくなる傾向があるため、ということです。
交通安全運動の重点にも「こどもの安全の確保」が春・秋共にまず第一に取り上げられ、秋の重点には「夕暮れ時と夜間の交通事故防止」が取り上げられているのにはそういった理由があります。また2024年は「思いやり・ゆずり合い」運転が重点に採用されました。
交通安全運動実施期間中だけでなく、普段から「思いやり・ゆずり合い」運転を行なうことが大切です。交通事故をなくすために、安全運転から一歩進んだ「思いやり・ゆずり合い」運転を行なう「安心運転」が求められているのです。
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