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2024年の交通事故件数を予想する!
~【2024年】実施期間の事故から読む「春の交通安全運動」の効果~
公開:2024年6月3日
春の交通安全運動実施期間中の交通事故死者数は3年ぶり減少!

 全国交通安全運動は内閣の交通対策本部が中心となって推進する交通安全啓発活動期間で、春と秋それぞれ10日間に渡って実施されています。春の交通安全運動は4年に1回全国統一地方選挙が行われる年を除き、毎年4月6日~15日の日程で行われています。

 2024年の期間中の全国の交通事故数は7,123件、交通事故死者数は55人でした。






 春の交通安全期間中の交通事故件数は4年連続で減少し、交通事故死者数は4年ぶりに減少しました。
 昨年(2023年)は、交通事故件数が19年ぶり、交通事故死者数が8年ぶりに共に増加した年であったため、今年は増加に歯止めをかける意味でも効果的な交通安全運動期間となったと思われます。
全国交通安全運動について

 交通安全運動は交通安全の啓発を目的として、1948年から行われています。春と秋の2回行われるようになったのは1952年で、毎回全国交通安全運動推進要綱によって運動重点が決められています。

 2024年の春の運動重点は、以下の3項目でした。

(1)こどもが安全に通行できる道路交通環境の確保と安全な横断方法の実践

(2)歩行者優先意識の徹底と「思いやり・ゆずり合い」運転の励行

(3)自転車・電動キックボード等利用時のヘルメット着用と交通ルールの遵守

春の交通安全運動実施期間中の交通事故件数は、東京都が3年連続ワースト1位!

 春の交通安全運動期間中の交通事故件数を都道府県別にみてみると、3年連続で東京都がワースト1位で、2024年には前年2位だった大阪府に代わって愛知県がワースト2位になりました。2020年、2021年とワースト1位だった大阪府は2022年、2023年に2位、2024年にはワースト3位と順位を下げていて、交通事故件数も4年連続減少と交通安全運動の効果が表れています。逆に東京都は全国で件数が減少しているにもかかわらず、増加しているという結果となりました。


      都道府県別春の全国交通安全運動実施期間中の高地位事故件数(単位:件)




 春の交通安全運動実施期間中の交通事故死者数は数値が小さく誤差の範囲が大きくなるため参考人数ですが、2024年の全国ワースト1位は愛知県の4人でした。
全国交通安全運動実施は交通事故減少に効果があるのか

 全国交通安全運動は年間で春と秋に10日ずつ実施されていますが、実際に交通事故減少に効果があるのでしょうか?

 2021年から2023年の交通事故件数と交通事故死者数を交通安全運動期間とそれ以外の期間で比較してみると、交通事故件数は交通安全運動期間中平均が1日あたり829件、それ以外が1日あたり835件、交通事故死者数は交通安全運動期間中平均が1日あたり6.5人、それ以外が1日あたり7人という結果でした。




 3年間の平均でみれば、わずかな数値の差ですが効果があったといえそうです。ただ、2022年は、交通事故件数、交通事故死者数とも交通安全運動実施期間の方が高く、2021年に関しても交通事故発生件数は交通安全運動実施期間の方が高いという結果をみれば、誤差の範囲だといえなくもありません。

2024年の交通事故件数と交通事故死者数の予想

 交通事故は毎日日本のどこかで発生しています。この年間発生件数を予想することはある意味不謹慎なことのようでもありますが、1件でも交通事故が減ることを願って、2024年に一体何件の交通事故が発生するのかを予想してみます。

 春の交通安全運動と年間の数値の相関を考えて適用すると、2024年は交通事故件数が269,445件で前年比12.5%減、交通事故死者数が2,457人で前年比8.3%減という結果になりました。


       2024年の交通事故件数と交通事故死者数の可能性



 昨年増加した交通事故件数と交通事故死者数ですが、今年は減少に転じる可能性が高そうです。このままさらに減少して、交通事故件数は1件でも少なく、交通事故死者数は1人でも減ることを望みます。願わくば両方の数字が0になる日が来ることを期待します。


年中交通安全運動期間のつもりで、思いやりとゆずり合いの安心運転へ

 全国交通安全運動期間が春と秋に決められたことには理由があります。春は、新年度が始まり、新たに通学・通園する児童などが増えるため、幼児や児童の交通事故が増加傾向にあるということ。秋は、夜が長くなり日没が早くなるために、薄暮や暗い時間帯に慣れていない運転者が事故を起こしやすくなる傾向があるため、ということです。

 交通安全運動の重点にも「こどもの安全の確保」が春・秋共にまず第一に取り上げられ、秋の重点には「夕暮れ時と夜間の交通事故防止」が取り上げられているのにはそういった理由があります。また2024年は「思いやり・ゆずり合い」運転が重点に採用されました。

 交通安全運動実施期間中だけでなく、普段から「思いやり・ゆずり合い」運転を行なうことが大切です。交通事故をなくすために、安全運転から一歩進んだ「思いやり・ゆずり合い」運転を行なう「安心運転」が求められているのです。


監修

大阪ガスオートサービス
大阪ガスオートサービス株式会社
SAFE推進部 安心運転訓練センター
企業ドライバーに特化した安全運転教育を提供し続け、20年。
受講企業数340社以上、受講者数は12万人を超える(2023年3月末時点)。
交通心理士/心理士補、指定自動車教習所検定員/指導員、交通機動隊白バイ隊員など、豊富な経験を持つ講師陣が、多角的な視点、専門的知見により、安全・安心運転ドライバーへと導く。
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