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レンタカーの交通事故について
~外国人によるレンタカー事故を考える~
公開:2025年2月5日
レンタカー台数の現状

 日本全国のレンタカーの登録台数は、この10年をみても飛躍的に増加しています。全体では、2014年に631,143台から2024年には1,095,711台と+73.6%もの伸びを示し、さらに乗用車に限って言えば、2014年の326,032台から2024年の630,868台へと約2倍(+93.5%)の伸びとなっています。



出典:一般社団法人全日本レンタカー協会  レンタカーについて



 このレンタカー、特に乗用車の台数の増加は、訪日外国人がレンタカーを使用することが多いことと無関係ではありません。
 少しデータは古いですが、令和元年にまとめられた内閣府の交通安全白書では、訪日外国人のレンタカー利用は、2011年(平成23年)から2017年(平成29年)の間に約8倍になったと指摘されています。


レンタカーを利用した訪日外国人の推移

レンタカーによる交通事故

 レンタカー台数が増えると気になるのは、レンタカーによる交通事故がどうなっているかです。レンタカーは自家用車や営業車と違って、臨時に運転する場合に借りるという場合が多いため、運転に不慣れな運転者が運転することが多いと考えられるからです。

 そのことを考えてレンタカーによる死傷事故件数をみてみると、予想に反してレンタカーの死傷事故は減少傾向にあることがわかります。

 2013年(平成26年)に6,366件あったレンタカーによる死傷事故件数は、2018年(平成30年)には5,913件へと-7.1%の減少となっています。



出典:国土交通省中部運輸局


 ただ、外国人によるレンタカーの死傷事故に限れば増加しているという結果になっているのですが、これは外国人によるレンタカー使用が飛躍的に増大していることと無関係ではありません。

 グラフによると外国人のレンタカー利用者数は7年間で約8倍になっているのですが、2014年(平成26年)と2017年(平成29年)の数値を比較してみると、事故率はほぼ変わらないことがわかります。


訪日外国人によるレンタカー事故率




 観光地のレンタカーショップにはいつもかなり大勢の外国人とわかる人たちが並んでいます。
 外国人観光客が増えると外国人によるレンタカーの使用台数は比例して増加するため、事故率が同じなら、レンタカーの使用に応じて交通事故が増えることは想定しておかなければなりません。



レンタカーによる交通事故率に関して

 しかし問題は、訪日外国人のレンタカーによる交通事故率が日本人の5.5倍もあるという事実です。実際、居住外国人に関しても日本人の約4倍の事故率であるため、外国人の方が圧倒的に日本人より交通事故を起こす確率が高いことは事実のようです。



出典:ITARDAインフォメーション132 訪日外国人によるレンタカー事故



 訪日外国人による交通違反に関して、韓国、台湾、香港の事例を調べたものがあります。

この事例から考えると、訪日外国人の多くを占める国に関して、母国でかなりの交通違反の傾向があることがわかります。



 交通違反に関する意識が大きく違う国の訪日外国人に日本の意識をすぐに持ってもらうことは不可能です。

 大切なことは、外国人の母国と日本とでは交通違反に関する意識が違うということを認識することです。

 さらに訪日外国人に対しても、日本の交通ルールに関して折に触れて知ってもらうことが大切になります。

 レンタカーを使用する訪日外国人の母国では日本と違って車が右側通行の国が多いことも知っておく必要があります。


 日本に来て間もない訪日外国人運転者が右側通行から左側通行になれるのには時間がかかる可能性もあることを理解しておく必要があります。


※速度超過は日本が保有台数1000台当たり22.6件であるのに対し、韓国は402.4件、台湾は340.3件、香港は337.6件。飲酒運転は日本が0.3件で、韓国は12件、台湾は12.4件、香港は1.6件だ。確かに歩行者の場合も、日本は信号が青になるまで待つが、海外では車が通っていなければ堂々と渡るといわれる。日本は海外よりも交通ルールが守られているようだ。



 レンタカーを運転する際に加入しているはずのレンタカー料金に含まれている自動車保険には免責事項があり、「飲酒運転や無免許運転といった、道路交通法に違反する運転による事故は補償の対象外」ということも理解しておく必要があります。


余裕を持って危険を回避できる安心運転を!

 日本の運転に不慣れなドライバーによる交通事故に巻き込まれないためには、外国人の運転傾向や現状に関して知っておくことが大切です。

 ただ、私たちができることには限りがあります。彼らが日本の交通ルールをしっかりとは把握できていない場合もあるからです。これは私たちが国際運転免許証を持って海外で運転する場合を想定すると理解できるでしょう。

 外国で運転する場合、どうしても自国の交通ルールに引っ張られ、その国の交通ルールを完全には理解できていないまま運転することが多いのは、現状の国際運転免許の仕組みが持つ問題点かもしれません。

 慣れない国の道路で、一時停止や一方通行の標識をわからないまま運転する場合もあります。日本の交通標識が世界共通のものというわけではなく、かつ日本語表記しかないことも原因の一端です。例えば「止まれ」に、「STOP」と併記することで少し理解しやすくなるでしょう。

 私たちは訪日外国人に限らず、レンタカーの危ない運転に出合ったときでも、余裕を持って回避できるような運転を日頃から行うことが大切です。


 余裕を持って危険を回避できる運転。それこそが周囲に安心感を与える安心運転につながるのです。


監修

大阪ガスオートサービス
大阪ガスオートサービス株式会社
SAFE推進部 安心運転訓練センター
企業ドライバーに特化した安全運転教育を提供し続け、20年。
受講企業数340社以上、受講者数は12万人を超える(2023年3月末時点)。
交通心理士/心理士補、指定自動車教習所検定員/指導員、交通機動隊白バイ隊員など、豊富な知識と経験を持つ講師陣が、多角的な視点、専門的知見により、安全・安心運転ドライバーへと導く。
公式YouTubeチャンネル

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