日本全国のレンタカーの登録台数は、この10年をみても飛躍的に増加しています。全体では、2014年に631,143台から2024年には1,095,711台と+73.6%もの伸びを示し、さらに乗用車に限って言えば、2014年の326,032台から2024年の630,868台へと約2倍(+93.5%)の伸びとなっています。
レンタカー台数が増えると気になるのは、レンタカーによる交通事故がどうなっているかです。レンタカーは自家用車や営業車と違って、臨時に運転する場合に借りるという場合が多いため、運転に不慣れな運転者が運転することが多いと考えられるからです。
そのことを考えてレンタカーによる死傷事故件数をみてみると、予想に反してレンタカーの死傷事故は減少傾向にあることがわかります。
2013年(平成26年)に6,366件あったレンタカーによる死傷事故件数は、2018年(平成30年)には5,913件へと-7.1%の減少となっています。
ただ、外国人によるレンタカーの死傷事故に限れば増加しているという結果になっているのですが、これは外国人によるレンタカー使用が飛躍的に増大していることと無関係ではありません。
グラフによると外国人のレンタカー利用者数は7年間で約8倍になっているのですが、2014年(平成26年)と2017年(平成29年)の数値を比較してみると、事故率はほぼ変わらないことがわかります。
訪日外国人によるレンタカー事故率
しかし問題は、訪日外国人のレンタカーによる交通事故率が日本人の5.5倍もあるという事実です。実際、居住外国人に関しても日本人の約4倍の事故率であるため、外国人の方が圧倒的に日本人より交通事故を起こす確率が高いことは事実のようです。
出典:ITARDAインフォメーション132 訪日外国人によるレンタカー事故
訪日外国人による交通違反に関して、韓国、台湾、香港の事例を調べたものがあります。
この事例から考えると、訪日外国人の多くを占める国に関して、母国でかなりの交通違反の傾向があることがわかります。
交通違反に関する意識が大きく違う国の訪日外国人に日本の意識をすぐに持ってもらうことは不可能です。
大切なことは、外国人の母国と日本とでは交通違反に関する意識が違うということを認識することです。
さらに訪日外国人に対しても、日本の交通ルールに関して折に触れて知ってもらうことが大切になります。
レンタカーを使用する訪日外国人の母国では日本と違って車が右側通行の国が多いことも知っておく必要があります。
日本に来て間もない訪日外国人運転者が右側通行から左側通行になれるのには時間がかかる可能性もあることを理解しておく必要があります。
※速度超過は日本が保有台数1000台当たり22.6件であるのに対し、韓国は402.4件、台湾は340.3件、香港は337.6件。飲酒運転は日本が0.3件で、韓国は12件、台湾は12.4件、香港は1.6件だ。確かに歩行者の場合も、日本は信号が青になるまで待つが、海外では車が通っていなければ堂々と渡るといわれる。日本は海外よりも交通ルールが守られているようだ。
日本の運転に不慣れなドライバーによる交通事故に巻き込まれないためには、外国人の運転傾向や現状に関して知っておくことが大切です。
ただ、私たちができることには限りがあります。彼らが日本の交通ルールをしっかりとは把握できていない場合もあるからです。これは私たちが国際運転免許証を持って海外で運転する場合を想定すると理解できるでしょう。
外国で運転する場合、どうしても自国の交通ルールに引っ張られ、その国の交通ルールを完全には理解できていないまま運転することが多いのは、現状の国際運転免許の仕組みが持つ問題点かもしれません。
慣れない国の道路で、一時停止や一方通行の標識をわからないまま運転する場合もあります。日本の交通標識が世界共通のものというわけではなく、かつ日本語表記しかないことも原因の一端です。例えば「止まれ」に、「STOP」と併記することで少し理解しやすくなるでしょう。
私たちは訪日外国人に限らず、レンタカーの危ない運転に出合ったときでも、余裕を持って回避できるような運転を日頃から行うことが大切です。
余裕を持って危険を回避できる運転。それこそが周囲に安心感を与える安心運転につながるのです。
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