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コラム

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2025年秋の交通安全運動の結果
~交通ルールを理解し交通事故ゼロへ~
公開:2025年12月1日
2025年秋の交通安全運動の重点項目

 今年も秋の交通安全運動が9月21日(日)から9月30日(火)の10日間実施されました。毎年同じ日程で1976年から継続されています。

 今年の重点項目は、以下の3点でした。

 (1)「歩行者の安全な道路横断方法等の実践と反射材用品や明るい目立つ色の衣服等の着用促進」

 (2)「ながらスマホや飲酒運転等の根絶と夕暮れ時の早めのライト点灯やハイビームの活用促進」

 (3)「自転車・特定小型原動機付自転車の交通ルールの理解・遵守の徹底とヘルメットの着用促進」

 昨年と比べると、(1)目立つ色の衣服の着用(2)ながらスマホの根絶(3)自転車・特定小型原動機付自転車の交通ルールの理解が新たに追加・変更されました。


重点項目(1)目立つ色の衣服の着用

 まず目立つ色の衣服の着用がなぜ追加されたのかに関して考察してみます。夜間に車のライトに照らされた場合、どんな色の服を着ていると遠くから認識されるかということを調査したものです。



 出典:埼玉県警察 ハイビームの適正・効果的な使用で夜間の交通事故防止

 



 この図によると、夜間に車がロービームで走っている場合は、歩行者が暗い色(黒っぽい色)の服を着ていると認識できるのは約 26m 先からということになります。これが明るい色(白っぽい色)の服になると約 38m と 12m も手前から認識されるということです。

 時間に換算すると、車が時速 60km で走っている場合にブレーキをかけて止まるまでに走る距離は約 44m、時速 50km だと 32m、時速 40km だと 26m とされているので、時速60km だとどんな色の服でも間に合わず、時速 50km だと明るい色の場合は間に合い、時速40km だとどちらともギリギリですが間に合うという違いがあることになります。

 また別の観点ですが、図からは反射材を付けていれば約 57m 先から認識できるため、時速 60km で走っていても間に合うことがわかります。


重点項目(2)ながらスマホの根絶

 ながらスマホの根絶に関しては、以前のコラム「ながらスマホ運転の代償~携帯電話使用による事故の現状~」(公開:2025年3月27日)で詳しく紹介していますので、ぜひ参照ください。



参考:ながらスマホ運転の代償~携帯電話使用による事故の現状~

    


重点項目(3)自転車・特定小型原動機付自転車の交通ルールの理解

 2025年4月1日から自転車に青切符が導入されました。

 これにより交通事故の原因となりうる重大な自転車の違反や、検挙後刑事手続きに移行しない程度の違反に対し、反則金の納付が義務付けられました。



 また、ここでいう特定小型原動機付自転車とは、2023年7月1日から電動キックボード等のうち一定の基準を満たすものについてを指し、運転免許が不要とされたものです。

 その基準は、以下の通りです。

 ・車体の大きさが、長さ190センチメートル以下、幅60センチメートル以下であること

 ・原動機として定格出力が0.6キロワット以下の電動機を用いること

 ・時速20キロメートルを超える速度を出すことができないこと

 ・走行中に最高速度の設定を変更することができないこと

 ・オートマチック・トランスミッション(AT)機構がとられていること

 ・最高速度表示灯(緑色等)が備えられていること

 ・道路運送車両法上の保安基準に適合していること

 ・自動車損害賠償責任保険(共済)に加入していること

 ・標識(ナンバープレート)を取り付けていること



 この特定小型原動機付自転車にあたる電動キックボードが公道を走っている様子はみなさんも目にしたことがあるのではないでしょうか。

 2024年度に全国で起こった電動キックボードによる交通事故は338件。そのうち1人が死亡、350人が負傷しました。


 大阪府警では、電動キックボードを2025年9月から3カ月間限定で交通警察活動に取り入れています。

 大阪市内3か所の警察署に電動キックボードを配備し、警察官がパトロールや事故現場に向かう際に利用することを想定しているようです。

 警察官が手本となり、電動キックボードの事故を防ぎ、正しいルールを周知していくとのことです。


 昨年は「交通ルールの遵守」が重点に挙げられていましたが、「交通ルールの理解」が未だなされていない現状を大きく受け止めた重点項目だと考えられます。


今年の秋の交通安全運動の結果

 今年の秋の交通安全運動期間中の交通事故は、残念ながら交通事故件数、交通事故死亡者数、交通事故負傷者数の全て増加という結果になりました。

 交通事故件数は前年比419件の増加、交通事故死者数は6人の増加、負傷者数は372人の増加でした。

 特に交通事故死者数に関しては3年連続増加となり、特に高齢者(52人、昨年比+21.2%)と歩行者(22人、昨年比+37.5%)が大きく増加しました。

 次年度以降の交通事故死者数を減らすさらなる取り組みが期待されます。




      出典:警察庁・令和7年秋の全国交通安全運動期間中の交通事故発生状況


「全国交通安全運動期間中における交通事故発生状況の推移」(警察庁)をもとに大阪ガスオートサービス株式会社作成


重点項目を気にかけて安心運転を広げましょう

 自転車の交通違反については、以前のコラムでも取り上げました。

その中では、自転車事故が若年層に多く見られることや、交通ルールの理解不足による違反があることに触れました。



参考:「自転車は法令を守らないもの?~自転車との事故減少に効果が期待される青切符導入について~」(公開:2024年7月17日)



 こうした背景から、自転車運転者の交通ルールの理解促進が重要であると考えられており、警察庁も今年の秋の交通安全運動の重点項目にこれを加えたと思われます。


 交通違反による事故は跡を絶ちません。

 もし、その違反が理解不足によるものだとしたら、理解を進めることで交通事故は減らせます。

 「交通事故を起こさない」という決意を持つことは非常に大切なことです。

 しかしそれ以前に交通ルールを理解し、なぜそのようなルールがあるのか、違反したらどうなるのかをしっかり考えることが重要です。

 一人ひとりの心がけが社会全体へ安心運転を広めていきます。

 今回の重点項目を心にとめて、今後も安心運転に努めましょう。


監修

大阪ガスオートサービス
大阪ガスオートサービス株式会社
SAFE推進部 安心運転訓練センター
企業ドライバーに特化した安全運転教育を提供し続け、約30年。
受講企業数400社以上、受講者数は13万人を超える(2025年3月末時点)。
交通心理士/心理士補、指定自動車教習所検定員/指導員、自動車整備士/検査員、交通機動隊白バイ隊員など、豊富な知識と経験を持つ講師陣が、多角的な視点、専門的知見により、安全・安心運転ドライバーへと導く。
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