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コラム

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ながらスマホ運転の代償
~携帯電話使用による事故の現状~
公開:2025年3月27日
携帯電話使用による死亡・重傷事故は2020年から4年で倍増

 2024年の携帯電話使用による交通事故のうち、死亡事故と重傷事故を合わせた数は136件を記録し、前年比+14人(+11.5%)となりました。また死亡事故に限ると前年比+7件(+28%)となっています。

 これを2020年と比較すると、死亡・重傷事故数が+70人(+106.1%)、死亡事故だけに絞ると+20人(+166.7%)という非常に大きい増加となっているのです。

 交通事故件数、死亡事故件数ともに減ってきていることを考えても、携帯電話使用による重大事故の大幅な増加は注意しないといけない特徴的なものです。





 この携帯電話使用による交通事故の死亡事故率は使用していないときの3.7倍に達し、その多くが画像目的の携帯電話使用、すなわち「ながらスマホ」が原因となっているのです。
 さらに、携帯電話使用によって死亡・重傷事故を起こした運転者の年齢層は20歳代が最も多く、次いで30歳代、40歳代と続き、若年層の運転者の事故が多いという結果であり、自動車運転中でもスマホを操作することをやめられないスマホ依存の傾向が若年層の方が強いという結果となっていることも注意が必要です。



携帯電話使用による重大事故事例

 2023年7月末に大阪の阪和自動車道で警察官が死亡した交通事故の加害者は衝突3秒前にもスマホの画面を触っていたとされています。

 スマホでYouTubeを視聴していたとのことで、衝突時の時速は80kmだったようです。

 時速80kmで運転しながらでもYouTubeの視聴をやめられないという危険な運転をしていたにもかかわらず、本人は考え事をしながら運転していたと嘘の供述を行い、画面の操作をしたかどうかは覚えていないと主張を続けました。

 この裁判での判決は禁錮2年。前方不注意で減速することもなくパトカーに乗り込むところだった警察官をはねて死亡させました。被害者家族からすれば理不尽と感じる判決ではありますが、現状では危険運転には該当しないため仕方ないようです。


出典:MBS NEWS



 こういう危険な運転者が運転する車が増えてきているのです。いくら気を付けていても前方不注意で減速せずに突っ込んでくる車を避けられるものでしょうか?

 2024年3月11日。滋賀県野洲市では事故前20分間も携帯電話で通話を続け、交差点の赤信号に気が付かないまま減速もせず、青信号で交差点を横断中の小学児童をはねて意識不明の重体という事故を起こしたという交通事故も起こっています。
 この運転者は通話中に「ガキがいっぱい歩いとる」と言っていたと通話相手が証言していることで近くに子供がたくさん歩いていることを認識していたにもかかわらず、携帯電話の通話をやめることなく運転を続け、あげく信号を無視して死亡事故にも匹敵するような重大事故を起こしているのです。この加害者には裁判で禁固2年4ヵ月の判決が言い渡されました。


携帯電話使用による重大事故事例に共通すること

 この大阪府と滋賀県の携帯電話使用による交通事故、いわゆるながらスマホ事故には、

減速することなく被害者をはねたこと以外に共通する点があります。

 1つは大阪の加害者が33歳、滋賀の加害者が28歳という比較的若い運転者だったということ。もう1つはともに過去に携帯電話使用で複数の検挙歴があったということです。大阪の加害者は2回、滋賀県の加害者は3回。検挙されたときだけ携帯電話を使用していたとは考えられないため、常に携帯電話使用すなわち「ながらスマホ」運転をしていたと考えられるのです。

 この過去に検挙歴があったということは極めて重要です。それは違反が多くなればなるほど交通事故を起こす可能性が高くなるからです。



平成22~24年違反・事故回数別の平成25年に四輪車運転中に事故の第一当事者となった運転者の事故当事者率


出典:交通事故分析センター 携帯電話等の使用が要因となる事故の分析


携帯電話使用による交通事故の傾向

 携帯電話使用によって交通事故を起こす人の特徴として、過去に携帯電話使用によって検挙されたことがあればあるほと交通事故を起こすことがわかりましたが、それ以外にも特徴があります。

 それは、他の交通違反に比べて、携帯電話使用による交通違反をする人は交通事故を起こしやすいということです。グラフで分かる通り、交通事故を起こしやすい運転者特性として、第一が携帯電話使用、第二が速度違反(赤切符)、第三が信号無視の順になっているのです。ながらスマホをする運転者がどれだけ危険か数字にも表れているのです。



平成22~24年に検挙された交通違反種類別の平成25年に四輪車運転中に事故の第一当事者となった運転者の事故当事者率


出典:交通事故分析センター 携帯電話等の使用が要因となる事故の分析



 さらに同じ違反で何度も検挙されるということも携帯電話使用による交通違反を行なう運転者には特徴となっています。
 2回3回と同じ交通違反で検挙される割合は、シートベルト装着違反に次いで、携帯電話使用が多い結果となっています。速度違反(赤切符)や信号無視が複数回検挙されることが少ないのに対し、携帯電話使用は多いのです。これは、携帯電話使用による交通違反者が交通事故を起こしやすいという自覚がなく、交通モラルが著しく低いという可能性を示しています。


平成22~24年に同種違反で複数回検挙された割合




自転車のながらスマホも増加

 2024年11月から自転車運転中のながらスマホの罰則が強化されました。これは車だけでなく、自転車のながらスマホによる交通事故が増加傾向にあることが理由に挙げられます。



出典:警察庁統計 令和6年における交通事故の発生状況について



 車の場合と同じく2020年と比較すると死亡・重傷事故数が+16人(+133.3%)、さらには死亡事故も発生しているという非常に問題となる結果となっているのです。


 さらに自転車に関しても青切符による取締りも導入されます。自転車運転中の携帯電話使用による交通事故当事者の最も多い世代は19歳以下と非常に若い世代が多いため、今後この世代が車に乗ることになって同じように携帯電話使用を行なわないように、交通モラルを高めることが求められています。



出典:警察庁統計 令和6年における交通事故の発生状況について


携帯電話は運転中は決して触らない気持ちを持って安心運転を

 スマートフォン(スマホ)が携帯電話のほとんどを占めるようになり、日常の生活に関してもスマホがないと電車にも乗れず、買い物もできないという人が増えています。

 スマホ依存の調査によると、スマホ依存は全体で60%を越え、若い世代の方がより依存率が高くなっています。



出典:MMD研究所 スマホ依存に関する定点調査2024


 このような社会情勢にあって、車や自転車を運転するときにスマホを操作したり視聴したりする人がますます増加することは避けられません。

 それに伴って、ながらスマホによる交通事故は確実に増加すると考えられます。

 私たちがそんな社会にあって、絶対に守らないといけないことは、運転中には絶対にスマホにさわらない、スマホを視聴しないということです。スマホを触る必要ができたときには必ず安全な場所に停車してから行なうことです。

 またながらスマホの車や自転車による交通事故に巻き込まれないように気を付けることも大切になってきます。

 ふらふらしている車には近寄らない、交差点でスピードを落とそうとしない車にはより一層気を付ける、いざというときにながらスマホの車に巻き込まれないように常に避けられる準備をしておくなど、より一層の心構えが求められます。

 決して交通事故を起こさないだけでなく、交通事故の原因になる可能性のある行為も行わない気持ちを持って安心運転をすることが大切になってくるのです。

監修

大阪ガスオートサービス
大阪ガスオートサービス株式会社
SAFE推進部 安心運転訓練センター
企業ドライバーに特化した安全運転教育を提供し続け、20年。
受講企業数340社以上、受講者数は12万人を超える(2023年3月末時点)。
交通心理士/心理士補、指定自動車教習所検定員/指導員、交通機動隊白バイ隊員など、豊富な知識と経験を持つ講師陣が、多角的な視点、専門的知見により、安全・安心運転ドライバーへと導く。
公式YouTubeチャンネル

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