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2024年の携帯電話使用による交通事故のうち、死亡事故と重傷事故を合わせた数は136件を記録し、前年比+14人(+11.5%)となりました。また死亡事故に限ると前年比+7件(+28%)となっています。
これを2020年と比較すると、死亡・重傷事故数が+70人(+106.1%)、死亡事故だけに絞ると+20人(+166.7%)という非常に大きい増加となっているのです。
交通事故件数、死亡事故件数ともに減ってきていることを考えても、携帯電話使用による重大事故の大幅な増加は注意しないといけない特徴的なものです。
2023年7月末に大阪の阪和自動車道で警察官が死亡した交通事故の加害者は衝突3秒前にもスマホの画面を触っていたとされています。
スマホでYouTubeを視聴していたとのことで、衝突時の時速は80kmだったようです。
時速80kmで運転しながらでもYouTubeの視聴をやめられないという危険な運転をしていたにもかかわらず、本人は考え事をしながら運転していたと嘘の供述を行い、画面の操作をしたかどうかは覚えていないと主張を続けました。
この裁判での判決は禁錮2年。前方不注意で減速することもなくパトカーに乗り込むところだった警察官をはねて死亡させました。被害者家族からすれば理不尽と感じる判決ではありますが、現状では危険運転には該当しないため仕方ないようです。
この大阪府と滋賀県の携帯電話使用による交通事故、いわゆるながらスマホ事故には、
減速することなく被害者をはねたこと以外に共通する点があります。
1つは大阪の加害者が33歳、滋賀の加害者が28歳という比較的若い運転者だったということ。もう1つはともに過去に携帯電話使用で複数の検挙歴があったということです。大阪の加害者は2回、滋賀県の加害者は3回。検挙されたときだけ携帯電話を使用していたとは考えられないため、常に携帯電話使用すなわち「ながらスマホ」運転をしていたと考えられるのです。
この過去に検挙歴があったということは極めて重要です。それは違反が多くなればなるほど交通事故を起こす可能性が高くなるからです。
平成22~24年違反・事故回数別の平成25年に四輪車運転中に事故の第一当事者となった運転者の事故当事者率
出典:交通事故分析センター 携帯電話等の使用が要因となる事故の分析
携帯電話使用によって交通事故を起こす人の特徴として、過去に携帯電話使用によって検挙されたことがあればあるほと交通事故を起こすことがわかりましたが、それ以外にも特徴があります。
それは、他の交通違反に比べて、携帯電話使用による交通違反をする人は交通事故を起こしやすいということです。グラフで分かる通り、交通事故を起こしやすい運転者特性として、第一が携帯電話使用、第二が速度違反(赤切符)、第三が信号無視の順になっているのです。ながらスマホをする運転者がどれだけ危険か数字にも表れているのです。
平成22~24年に検挙された交通違反種類別の平成25年に四輪車運転中に事故の第一当事者となった運転者の事故当事者率
出典:交通事故分析センター 携帯電話等の使用が要因となる事故の分析
2024年11月から自転車運転中のながらスマホの罰則が強化されました。これは車だけでなく、自転車のながらスマホによる交通事故が増加傾向にあることが理由に挙げられます。
出典:警察庁統計 令和6年における交通事故の発生状況について
車の場合と同じく2020年と比較すると死亡・重傷事故数が+16人(+133.3%)、さらには死亡事故も発生しているという非常に問題となる結果となっているのです。
さらに自転車に関しても青切符による取締りも導入されます。自転車運転中の携帯電話使用による交通事故当事者の最も多い世代は19歳以下と非常に若い世代が多いため、今後この世代が車に乗ることになって同じように携帯電話使用を行なわないように、交通モラルを高めることが求められています。
出典:警察庁統計 令和6年における交通事故の発生状況について
スマートフォン(スマホ)が携帯電話のほとんどを占めるようになり、日常の生活に関してもスマホがないと電車にも乗れず、買い物もできないという人が増えています。
スマホ依存の調査によると、スマホ依存は全体で60%を越え、若い世代の方がより依存率が高くなっています。
このような社会情勢にあって、車や自転車を運転するときにスマホを操作したり視聴したりする人がますます増加することは避けられません。
それに伴って、ながらスマホによる交通事故は確実に増加すると考えられます。
私たちがそんな社会にあって、絶対に守らないといけないことは、運転中には絶対にスマホにさわらない、スマホを視聴しないということです。スマホを触る必要ができたときには必ず安全な場所に停車してから行なうことです。
またながらスマホの車や自転車による交通事故に巻き込まれないように気を付けることも大切になってきます。
ふらふらしている車には近寄らない、交差点でスピードを落とそうとしない車にはより一層気を付ける、いざというときにながらスマホの車に巻き込まれないように常に避けられる準備をしておくなど、より一層の心構えが求められます。
決して交通事故を起こさないだけでなく、交通事故の原因になる可能性のある行為も行わない気持ちを持って安心運転をすることが大切になってくるのです。
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