2024年の全国交通事故発生状況(2025年1月の警察庁交通局発表)によると、交通事故死者数は2年ぶりに再び減少に転じたようです。その数は2,663人。対前年比15人減少で、減少率0.5%となりました。
出典:警察庁統計 【交通事故死者数について】令和 6 年(2024)
また交通事故死亡者数を都道府県別にみると、2年連続1位だった大阪府が4位となって、代わりに3年連続3位だった東京都が1位となりました。東京都の交通事故死者数は前年比で10人増え、146人、増加率7.4%となりました。東京都に次いで愛知県(141人)、千葉県(131人)、大阪府(127人)、埼玉県(113人)という結果でした。
出典:警察庁統計 【交通事故死者数について】令和 6 年(2024)
2023年に交通事故死者数が8年ぶりに増加した背景は、新型コロナウイルスが5類に移行したことに伴って社会活動が活発化したからだと考えられていますが、2024年に再び減少に転じたことは、社会活動の活発化も平常に戻り、以前からの減少傾向に戻ったものと考えられます。
但し、減少人数がわずか15人に留まったことは、高齢者の交通事故死者数が増加したことが理由の1つと考えられます。
全体として15人減少したにもかかわらず、高齢者(65歳以上)の交通事故死者数は対前年比47人増加で計1,513人となりました。高齢者以外だと合計1,150人で、前年比62人減少(減少率5.4%)という結果でした。交通事故死亡者数の高齢者比率は56.8%で、前年の54.7%から2.1%増加となり、さらに高い水準になりました。
出典:警察庁統計 【交通事故死者数について】令和 6 年(2024)
全体の交通事故死者数は再び減少に転じたとはいえ、高齢者の交通事故死者数は増加しています。運転者一人ひとりが高齢者に気を付けてより一層安全運転に気をつけることが大切です。
交通事故死者数が再び減少に転じましたが、交通事故発生件数も速報値ベースですが同じく減少に転じたようです。
交通事故発生件数(速報値)は、2024年は前年比17,138件減少(5.6%減少)の290,792件でした。これは今の集計方法(軽微な被害の場合を含んだ集計)を行なうようになった1960年以降の最小値となりました。
2020年から2021年の減少率が1.29%(3,982人減少)、2021年から2022年の減少率が1.43%(4,357人減少)であり、1年間(2022年から2023年)の増加を挟んで、2022年から2024年は減少率3.3%(10,047人減少)となり、1年平均にすると減少率1.7%(5,024人減少)となって増加した2023年を異常値とすると減少傾向が継続していることがわかります。
交通事故件数が5.6%減少したことに対し、交通事故死亡者数は0.5%しか減っていないことは要注意の数値と言えます。この原因のひとつが高齢者の交通事故死者数の増加にあることを考えると、今後高齢者の数がますます増えることで、交通事故発生数が減っていっても交通事故死者数はあまり減らないということが想定されるからです。
出典:警察庁統計 【交通事故死者数について】令和 6 年(2024)
交通事故負傷者数(速報値)に関しても、2023年の365,595人に対し、2024年は343,756人という結果で対前年比21,839人減少(減少率6.0%)となりました。
交通事故負傷者数に関しても交通事故発生件数と同じ傾向で、2023年は増加したものの2024年は2022年までの減少傾向を引き継いでいることがわかります。
交通事故死者数は1970年の16,765人をピークに減少。1995年に10,684人を記録して以来、概ね減り続けて2024年には2.663人になりました。
一方交通事故発生件数は2004年の952,720件をピークに2023年に7,091件増加を記録するまで減り続け、2024年は再び減少に転じて、290,792件となりました。
この期間で交通安全に関する取り組みや技術開発が進み、交通事故発生件数に対する交通事故死亡者数は非常に低くなってきています。しかし、まだまだ年間約30万件の交通事故が発生し、1日あたり797件の交通事故が発生していることになります。1時間当たりにすれば33件。約2分に1件の交通事故が発生している訳です。交通事故死者数に関しては、1日あたり7人ということになります。
私たちは、この交通事故を発生件数・死者数ともに限りなくゼロに近づけたい。そのために安心運転を普及させていきたいと考えています。
今、一人ひとりが安全運転を超える「安心運転」に取り組み、交通事故を起こさないための心構えをもつことが求められているのです。
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