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コラム

安心運転
小学生を交通事故から守るために
~小学生の交通事故の傾向と対策~
公開:2025年6月24日
小学生4人が飲酒運転の運転者にひき逃げされた交通事故

 2025年5月14日午後4時過ぎに、埼玉県三郷市で集団下校途中の小学生の列にSUV車が突っ込み、4人を怪我させたうえ、現場から逃走するという交通事故がありました。

 逃げた犯人は、怪我させたときに車から降りて、小学生に「ごめんね」と言った後で、「ここは邪魔だから車移動するね」と言って逃走したようです。

 その後の調べで、運転者は飲酒運転の発覚をおそれて逃げたようですが、多くの目撃者もあり、車のナンバーも控えられ、逃げた車を追走した車のドライブレコーダーの映像もあるため、交通事故から4日後に出頭したようです。

 飲酒運転の場合、その場で逮捕されるより、逃げて酒気が抜けてから出頭した方が刑が軽くなるという人道上誤った認識が広く出回っていることもあり、飲酒運転の運転者がひき逃げをするという事例が後を絶ちませんが、この運転者は、過失運転傷害アルコール等影響発覚免脱※とひき逃げの罪で起訴されました。


※過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪
アルコール又は薬物の影響により、正常な運転に支障が生じるおそれのある状態で自動車を運転した者が、運転上必要な注意を怠り、人を死傷させ、その時のアルコール又は薬物の影響の発覚を免れる行為をした場合
罰則 12年以下の懲役
小学生が自転車で横断歩道を横断中に無免許運転の運転者にひき逃げされた交通事故

 2025年5月18日午後5時50分過ぎに、京都府長岡京市では自転車に乗った9歳の小学生が横断歩道を渡ろうとした際に車にはねられ、車に乗った犯人はその後逃走するという交通事故が起こりました。

 犯人は無免許運転のため、ひき逃げと無免許過失運転傷害の罪で逮捕されましたが、「無免許運転したことは間違いありませんが、事故を起こしたこと、相手を助けなかったこと、警察に報告しなかったことは違うかなと思う」と言っているようです。この場合も目撃者がおり、事故後に犯人は一度車から降りたものの、警察へ連絡せず、再び車に乗って逃げたことが確認されているにもかかわらず否認しているようです。


小学生は低学年ほど交通事故にあう可能性が高い

 札幌市で2025年6月2日午後6時頃に信号機のない交差点の横断歩道を横断中の小学生が乗用車にはねられるという交通事故がありました。また同じく6月3日午後4時頃、札幌市で横断歩道を渡っていた小学生3人が車にはねられるという交通事故がありました。共に運転者はその場で過失運転傷害の罪で逮捕されたようです。

 このように全国で小学生が犠牲になる交通事故が後を絶ちません。ここに挙げたいずれの場合も小学生には交通違反などはなく、一方的に車の運転者によって被害を受けているものです。

 警察庁の統計資料によると、2019年から2023年までの5年間で起こった小学生の交通事故に関して、歩行中の小学生の死者・重傷者は2,011人に上ります。

 その内訳をみてみると、死者・重傷者数は小学校1,2年生が特に多く、小学校6年生の約3倍になることがわかります。死者数に限ると小学校6年生が0なのに対し、小学校1~3年生が多いことがわかります。




小学生が巻き込まれる交通事故の特徴

 小学生が交通事故にあうことが多い月は、6月、10月、12月となっています。6月の今の時期がまず気をつけなければならない時期なのです。

 6月に交通事故にあうことが多い理由はいろいろ考えられますが、まずは梅雨の時期で雨が多く、小学生にとっては傘などで視界が遮られること、また車にとっても雨で視界が狭まることに加えて雨によるスリップなどが挙げられます。

 さらに小学生に関しては学校に慣れてきて、登下校時に注意力が散漫になりがちということや、友だちができて遊ぶ機会が増えて道路を利用する機会が多くなってくることも挙げられます。



出典:政府広報オンライン 小学校1年生の歩行中の死者・重傷者は6年生の約2.9倍。

    新1年生を交通事故から守るには?


 小学生の交通事故発生時間帯をみると、集団登校時よりも下校時および下校後の時間が多いことがわかります。

 目的別で確認しても、下校中、遊戯、私用他が多くなっており、夕方の時間帯には小学生の交通事故に特に気を付けることが必要です。




小学校高学年になるほど増える自転車事故

 歩行中の交通事故に関しては、小学校低学年が高学年に比べてかなり多いという結果ですが、小学校高学年では自転車による交通事故が増えてくるので、注意が必要です。

 上記データよりも2年前のデータ(2017~2021年)ですが、小学生が交通事故にあうのは歩行中の次に自転車乗車中が多いことがわかります。

 また、自転車乗車中の交通事故は小学校低学年より、高学年になるにしたがって多くなり、比率で言えば小学校5,6年生では歩行中の交通事故より多くなります。

 これは小学校高学年になるほど自転車に乗る機会が増え、それに伴って交通事故も増えていることを示しています。

 

小学生の状態別死者・重傷者数(2017~2021)


小学生の学齢別状態別死者・重傷者数(2017~2021)



出典:内閣府 令和4年交通安全白書 子供の交通事故の状況

小学生の交通事故の原因と傾向

 小学生の交通事故の発生状況は、上記集計と母数が違うのですが傾向がわかるものとして警視庁による集計をもとに確認してみます。歩行中に関しては横断歩道での交通事故と道路横断中の交通事故が非常に多く、自転車乗車中の交通事故に関しては、出会い頭と車両単独の交通事故が多い傾向となっていることがわかります。

 また歩行中に関して交通事故にあった場合に歩行者の側は交通違反なしが71.1%と大半を占め、それ以外では飛び出しが多いことがわかります。

 これに対し、自転車乗車中に関しては、交通違反なしは19.0%に留まり、大半が交通違反を犯していることがわかります。多い交通違反から順に、ハンドル・ブレーキ操作不適、安全不確認、交差点安全進行違反、一時不停止の順になっています。




小学生を交通事故から守るためにも安心運転を!

 6月は、新学期が始まって新小学1年生が小学校に通い始めて2ヵ月が過ぎ、学校生活にも慣れた頃です。そろそろ緊張していた最初の頃から気分も緩み始める頃。そのうえ、梅雨が始まって雨の日が多くなって、車の運転にはより一層の注意が必要になります。

 小学校低学年の頃には、まだ車の危険性の認識も低く、突然の飛び出しや安全不確認行動をすることも十分に考えられます。

 6月は小学生の交通事故が増加する季節だということを念頭に置いて、小学生が突発的な行動をした場合にも対処できるような運転を心掛けましょう。

 身長が小さくて車からの死角になる可能性もあります。自転車に乗って少し遠くへ行くようになり、近所とは違った環境での運転に十分対応できていない場合も考えられます。小学生の自転車乗車中の交通事故原因に交通違反が多いことは、十分に意識しましょう。

 小学生の乗る自転車が路地や交差点で飛び出して来たり、道路を逆走してくるなどの危険予測を常にしておきましょう。


 日頃からの「安心運転」の心掛けが小学生を交通事故から守ることにつながり、運転者も歩行者も自転車も安心して過ごせるようになるのです。


監修

大阪ガスオートサービス
大阪ガスオートサービス株式会社
SAFE推進部 安心運転訓練センター
企業ドライバーに特化した安全運転教育を提供し続け、約30年。
受講企業数400社以上、受講者数は13万人を超える(2025年3月末時点)。
交通心理士/心理士補、指定自動車教習所検定員/指導員、自動車整備士/検査員、交通機動隊白バイ隊員など、豊富な知識と経験を持つ講師陣が、多角的な視点、専門的知見により、安全・安心運転ドライバーへと導く。
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